2代目が会社を潰すBlog

#意識低い系社長が起業・経営・経済について発信するBlogです。

インドの話3

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青年はわたしの目が輝き出したことを見逃さなかった。

 

 

なかなか洞察力のある奴だな、とわたしは思った。

 

 

 

だから、行くことはおすすめしないよ、って。

 

治外法権じゃないけど、

法とか秩序とかそういった固定観念の通用しないとこだから

 

 

俺はもう二度とごめんだね。

 

 

えぇ?それでも行くの?どうして?

 

 

 

ブラジルのファベーラやメキシコ、ベネズエラ

南アフリカに行くようなもんだよ。

 

 

死にたいってなら、止めやしないけどさ。

 

 

青年はわたしにその場所を教えたことを

後悔し始めているようだった。

 

 

なぜならわたしはもう、そこに行くことを決めてしまっていた

 

 

わたしは青年にお礼を言い、

青年もご馳走になったことを何度も礼を言っていた。

 

 

それと同じくらいあの場所に行くことを

止めさせようと必死だった。

 

 

わたしは最後に青年にわたしの所持していた

着替えのTシャツをプレゼントし、別れを告げた。

 

 

青年はわたしが見えなくなる最後までその場で頭を下げていた。

 

 

それはとても不思議な感覚だった。

 

 

 

異国で知り合い、たまたま昼食を共にとっただけの、

名前も知らない同じ日本人。

 

 

そして異国の地で日本式のお礼。

 

 

この混沌とした街でこれから彼はどうやって生きていくのだろう。

 

 

あの薄汚れたホテルで天井に這う虫を見て

朽ちていくのだろうか。

 

 

いざとなったら、逃げ出して

日本という安寧の地に帰るのだろうか。

 

 

そんなことを思いながら、

わたしはその地の名前をスマートフォンで検索した。

 

 

続く